介護をしているご家族の体験談


寝たきりの姑の介護をして一年以上になります。

今、介護することがとても楽しいんです。
こんなふうに書くとみなさん、えっ?と驚くかもしれません。

もちろんはじめから介護が楽しいと思ったわけではありませんでした。
腰椎骨折から始まり脳梗塞になり、入退院をくりかえし、三度目の退院の時、
姑は右半身麻痺の寝たきりとなり、付きっきりの介護が必要となりました。

離れて暮らす姑の実の娘達は在宅は無理、施設入所しかないだろうと思っていたようです。

その前に姑の事を話さなければいけません。
姑は9人兄弟の末っ子で、しかも両親が40歳を過ぎてからの子供だったので、
両親だけでなく、20歳も年の離れた兄夫婦たちからも愛され、
望むものは何でも与えられる環境でわがままに育ったようです。
そのせいか姑は自分本位、周りの者から恩恵を受けるのは当たり前。
本心は誰にも見せず、自分の殻に閉じこもる、そんな所がありました。

結婚して一緒に暮らしても姑の気持ちがわからないまま、
「嫁姑の関係なんてこんなもんなのかな」と私も気にも留めず同居して40年経ってしまった感じでした。

そういった姑の性格を考えると施設での生活はますます心を閉ざしてしまい、
認知症になってしまうんじゃないかと考えました。

骨折したときにも姑を介護していて、強く感じたのは
PTさんや看護師さん、そしてヘルパーさんたちと一緒にチームで姑を看てきたという気持ちだったので、
寝たきりの状態で帰ってきても大丈夫、チームワークでまたなんとかやれると思っていました。
訪問医となる医師や入院先の医師、ソーシャルワーカーさんにも集まってもらい、
家族に話をしてもらい、在宅介護が始まりました。

なんとかやれるとは思っても、姑は右半身麻痺の寝たきり。
ヘルパーさんに手伝ってもらいながら、オムツ交換のやり方や体位交換のコツなどを
聞き、自分なりに頑張って毎日が過ぎて行きました。

姑に手づくりの物を食べてもらいたいと思い、毎日手作りし、作ったものをノートに書き留めています。
これはもし食中毒になった時、何が原因かわかるようにと思っての事です。
水分をたくさん摂る人ではなかったので、どうやったら水分が摂れるか、とても苦労しました。
お猪口ぐらいの器で少しずつ飲んでもらう工夫をしたり、看護師さんから
ゼリー状のものだったら摂りやすいのでは?とアドバイスをもらい、試してみたり。

姑は介護されることには抵抗も拒否もなく受け入れてくれましたが、
姑の気持ちが良くわからず、手探り状態でした。
でもわからなくて困りはてる、というより、
今日はこうしたら、姑はどう出るかしら?
と言い方は悪いかもしれませんが、ちょっとしたゲーム感覚で日々過ごしています。

こちらからの声かけに応えることも少なく、感情を表に出さない姑に、
ヘルパーさんやPTさん、看護師さんはいつもよく話しかけてくれます。

お猪口でほんの少しの水分が摂れた時も姑を励まし、一緒に喜んでくれました。
ある日ヘルパーさんの話しかけに姑が答えていました。とてもびっくりしましたが、
ひと月ほどたった頃でしょうか姑にも少しづつ変化が見えてきました。
排泄介助の時に体位交換といって横を向いた時には麻痺のない手で柵をつかみ手伝って
くれるようになりました。また、自分から腰をあげて介助に協力してくれるようになりました。
食事の時、姑の手に小さいコップを持たせてあげたら、自分で飲んでくれました。
とても嬉しかったです。多分姑も嬉しかったと思います。



姑は訪問リハビリも受けています。そのおかげもあるのでしょう、少しの時間であれば
ベッドに腰を下ろした状態を保てるようになりました。
ある日、部屋から私を呼ぶ声が聞こえ、行ってみると「お腹が空いた」と言うんです。
びっくりしました。いそいで用意すると美味しそうに食べてくれました。
よそで買った天ぷらはイヤ、家で作ったものが美味しい、とも言ってくれました。
最近姑はよく笑うようになりました。
この間は自分でスプーンを持って食べることができました。すべて食べ終え、ヘルパーさんが
「Мさん頑張りましたね!」というと、姑も「頑張りました。」と答えたんです。
すごいでしょう。姑の嬉しい変化にびっくりしています。
ヘルパーさんともとてもいい関係で、帰るときにはハイタッチをしてへルパーさんを送ります。

もし姑が脳梗塞にならなかったら、こんなふうに姑との関係を築けたかしら?
こんなに姑の気持ちや性格を考えた事があったかしら?と思うことがあります。
姑にとっては身体の自由が利かなくなり、人に頼らなければならず、辛いこともあるでしょう。
でもそんな状況から、今は少しづつ努力して動けるようになってきている。
介護する私にとっても、とても嬉しいことです。

でもそれは私一人がやったことではなく、ヘルパーさんや医師や看護師さんPTさんたちとの
チームワークがあってこその結果だと思っています。
姑の性格は基本的には変わっていない気がしますが、
人が生きて行く上で一番大切なコミニュケーションを姑も学び始めているんだと思います。
それは上っ面だけの作業のような介護では姑の心には入り込めなかったと思います。
皆さんの親身な真剣な介護が姑の頑なな心をほぐしてくれたんじゃないかと思います。

私自身姑の介護からたくさんの事を学んでいます。
姑も今、介護される立場になり、人として大切なモノ・コト・ココロを学んいるんじゃないかと思います
そんな姑を介護する毎日が本当に楽しいんです。